BS日テレの「ぶらぶら美術・博物館」で紹介してた小村雪岱展、ウットリしてため息が出そうで、とにかくステキだった😍💕
小村雪岱(こむらせったい)とは?
大正から昭和初期にかけて、挿絵や舞台装置画などの商業デザインの分野で活躍した方で、発足間もない資生堂意匠部に所属し、資生堂の香水瓶や広告、そして誰もが見たことのある「資生堂字体」を手掛けた人物です。
「資生堂字体」は約100年経った現在でも、資生堂の新人デザイナーが手書きで習得するんだそうですよ。
独特な漢字の「資生堂」や「椿」などの、あのフォントです!
「ぶらぶら美術・博物館」によると、小村雪岱の名は商業デザインの分野では大変有名ではあるものの、「画家」としては最近までほぼ無名だったとか。
というのも当時の画壇からは画家ではなく「商業デザインの人」として扱われていたためで、最近になり画家として再評価されたり、新たに発見された作品が出てきたり、小村雪岱ファンの間ではかなり盛り上がっているようです。
私も大ファンになりました😍💕
美術館で鑑賞
現在山口県立美術館では、入場の予約は設けておらず、入場時に検温・消毒・連絡先等の書類に記入するだけで、あとは通常通り楽しむことが出来ます。
なお「小村雪岱スタイル」展では、きもの・浴衣で行かれると200円引きになるそうですよ👘
⬇️入場するとロビーサイン写真撮影OKの張り紙が。
⬇️ロビーサインだけでもワクワクしてきます😀
⬇️ロビーサインに使われている「おせん雨」の主要人物は3人です。
①右下の黒い頭巾を被っている女性が主人公のおせん
②中央の白い頭巾をかぶっている人が、おせんの味方でストーカーのようにしつこく言い寄る男性を諫める人
③その左側にいる傘を差した斜め後ろ姿の男性が、おせんにしつこく言い寄る人
現実だったら諍いをしている男性2人とその野次馬という、なんだかゲスい嫌な場面のはずです。
しかし、重なり合ういくつもの和傘とその隙間に配置された主要人物、真っ直ぐに落ちる雨の表現、画面上部の空間など、雪岱の手にかかればこんなにも洗練された画になるんですね。
⬇️それでは入場しましょう。
会場内部は写真撮影禁止ですので写真はありませんが、代わりにチラシで内容をお伝えします。
⬇️A4サイズの紙を折り曲げたA5サイズですが、表裏で「青柳」と「おせん雨」となっています。
左側の「青柳」には人物が誰も描かれていないけれど、さっきまで誰かいたような、またこれから誰かが来るような、遠くの衣擦れや足音が聞こえてきそうで、はっきりと人の気配を感じます。
右側の「おせん」は主要人物が揃っていて、良いところでトリミングしてありますよね。
「おせん」をよく理解してこの作品が本当に好きな人が、このチラシをデザインされたんだなぁと思います。
⬇️チラシの内側です。
小村雪岱の肉筆画や版画、装幀本だけでなく、小村雪岱に影響を与えた画家である鈴木春信の美人画の浮世絵、また七宝の並河靖之を始めとする「江戸の粋」から「昭和のモダン」に至る過程の工芸品の展示もあります。
緻密な工芸品は、単眼鏡があるともっと楽しめるよ
ここからの写真は購入したポストカードです。
⬇️小村雪岱が手掛けた、泉鏡花 の『日本橋』の表紙です。
もともと泉鏡花の小説を愛読していた小村雪岱でしたが、ひょんなことから泉鏡花と巡り合い「雪岱」という雅号と、後年『日本橋』の装幀の仕事をいただくことになります。
とても100年以上前の作品とは思えないほどPOPですよね。
美術館で装幀本の実物を見てみると、POPだけど繊細なライン、優しくて上品だけども鮮やかな色使い、厚紙のカバーのデザインなど、現在の本の概念とは全く違う高級感あふれる芸術品そのもので、手に取るだけで心躍る、特別なアイテムだったことは間違いないでしょう。
泉鏡花はそれまで鏑木清方に多くの作品の装幀を依頼していましたが、「日本橋」の装幀を小村雪岱に依頼してからは、小村雪岱が多くの作品を手掛けるようになります。
いわば鏑木清方の仕事を一部奪ってしまったような恰好となってしまった訳ですが、鏑木清方は小村雪岱を評価し、泉鏡花の仕事は実際のところ、二人が譲り合っていたそうです。
⬇️東銀座の歌舞伎座に飾られている鏑木清方の作品
鏑木清方と小村雪岱、画風は違うけど、両方とも美しいよね
⬇️これは絹本の「月に美人」のポストカード。
本物の作品は、団扇状の周りの麻の葉柄と松葉柄がもっと広くとってあってバランスが絶妙。
でもステキなことには変わりない。
着物好きとしては、帯の結び方、着方や小物の使い方も参考になるのよね
⬇️「雪の朝」のポストカード。
この絵に限らず、小村雪岱の絵にはグラデーションやボカシが少なく、絶妙な色使いのベタ塗りな感じが、いわゆる美術品そしての「絵画」ではなく、商業デザインとしての「ポスター」のように捉えられてきた所以かもしれません。
確かに左下の余白の部分に、キャッチコピーが入りそうではあります。
しかし、雪の積もった早朝の薄暗く静寂な中にも、人の生活の暖かさを感じ取ることのできるこの作品は、間違いなく芸術性の高い「絵画」であると思います。
以上、チラシやポストカードで内容をお伝えしましたが、本物の持つ魅力はこんなものではありません。
ぜひ、美術館に足を運んでみてください。
⬇️山口県立美術館では会場を出ると、ちょっとした工作コーナーがありました。
4種類から選んでシールを貼って、お好みのしおりを作ります。
⬇️「日本橋」のしおりもありましたが、大人気なのか材料が切れていました😥
⬇️仕方ないので、「鍋焼きうどん」のしおりにしました。
これはこれで良いでしょ?😀💕
⬇️会場をあとにします。
山口県立美術館は、こんな感じで敷地内全てにスロープが設けてあり、車椅子や杖を使用する方でも安心して鑑賞することができます。
また障碍者手帳を持っている方と介助者1名は、特別展でも入場無料です。
⬇️中庭に面した休憩所からの眺め。
コロナ前には県内で有名なスイーツ屋さんがカフェをされていましたが、コロナ後は撤退されたようです。
1階にはミュージアムショップがあるので寄ってみましょう!
ミュージアムショップ
⬇️ロビーサインまで戻ってきたら、左手にはミュージアムショップがあります。
⬇️ポストカードは1枚110円。
⬇️A5サイズのクリアファイルは275円。
⬇️A5サイズの倍の大きさ、A4サイズのクリアファイルは330円。
⬇️シールは2種類あります。1つ330円です。
⬇️他にも図録はもちろん、トートバッグや手ぬぐい、マスクケースなどありましたが、私が購入したのはこちら。クリアファイル2つと、ポストカード4枚。
⬇️クリアファイルって、いつも買っちゃうんですよね。
一つ目はこれ、「日本橋」。やっぱりカワイイ😍💕
⬇️A4サイズのクリアファイルは、片面が「雪の朝」、もう片面が「青柳」。
本当は図録が買いたいところだけど、嵩張るし最近はポストカードで我慢してる。電子書籍版の図録があったら、絶対買うのに。